日本国際経済法学会
The Japan Association of International Economic Law
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理事長より(2005年11月)

はじめに
 2005年10月30日に本学会の第15回研究大会が京都大学で行われました。今回は久しぶりに多数の会員の参加をえて、極めて充実したレベルの高い報告と討論が終日展開され、本来の学会らしさを取り戻した観がありました。座長・報告者およびフロアーから議論に参加された方々の貢献はもとよりですが、8ヶ月以上にわたる研究運営委員会(岩沢雄司主任)のご尽力の賜物です。また、編集委員会(須網隆夫主任)のご苦労の結晶である『日本国際経済法学会年報』第14号(2005年)も、研究大会の前に全会員宛に郵送されておりました。
 研究大会の前日には役員会が開かれ、幾つかの重要問題について決定されました。詳細は「2005年度総会・役員会の報告」欄をご覧下さい。ここでは、本学会が直面している課題とその対応の基本的な点について述べておきたいと思います。
 昨年(2004年)秋に発足した私共の執行部では、主に次の3点を、いわば「三位一体」の重要課題と位置づけて、改革に取り組んで参りました。第1は学会組織体制の強化・合理化、第2に理事選任手続の改革、そして第3には本学会における将来像の明確化、とりわけ本学会における国際取引法等、私法系の適正な位置づけです。これらの課題について、今回の役員会・総会で、私共執行部の提案を基本的にご了承頂きましたので、私共としては、その具体化に向けて今後1年間、努力を傾注していく所存です。

学会組織体制の強化・合理化
 まず、第1の問題については、とくに会計関係の改善が急務でした。会員総数の3割を超える会費滞納率、中でも5年以上の滞納者が全会員の1割にのぼるという数字に、私共は衝撃を受けました。そこで、すでにご承知の通り、会費納入方法を銀行口座からの自動振り込み方式に変更させて頂きました。今年は初年度ですので、全会員がこの切り替えを行って頂くまでには至っていませんが、来年度までには会員の大半の方々に切り替えを行って頂くことが出来るものと期待しております。また、これに関連して、研究大会時に会費を受領することも、開催校への負担軽減の観点から取りやめることに致しました(年報の受け渡しも同様の考慮から取りやめ郵送に切り替えました)。
 従来、本学会では、5年以上の滞納の場合に「資格喪失」(規約上は「除名」という表現が用いられておりますが、これはやや穏当を欠くと思われますので、「資格喪失」の語を用いることにし、いずれ規約関連条文の改正も提案する予定です)の手続を開始するということにして参りました。しかし、これでは余りに滞納猶予期間が長すぎると思われますので、今般、役員会では、この期間を3年とするとともに、3年目の9月末日までに会費の納入がない会員については、手続きに入ることに致しました。
 これまでの滞納者については、個々的に連絡・督促申し上げ、会費の納入をお願いして会員としての地位を維持するか退会するかをはっきりとして頂くことにし、ご返答のなかった方々につきましては、規約に従って、警告の後、資格喪失の手続をとらせていただきました。
 本学会が学会としての体裁を整えるためには、まずもって、こうしたことからしっかりと固めていく必要があると思います。膨大な時間を費やしてこの困難な作業に当たられた庶務・会計の副主任には心から感謝申し上げる次第です。

理事選任方法の改革
 昨年秋の新常務理事会発足以来、私共は本学会の組織運営面の改善の必要性を強く感じ、とくに学会の中枢機関である理事会の改革が急務であると考えてきました。従来から、本学会の理事会メンバーは固定化し既得権化しているとの批判が強かったのはご承知の通りです。前執行部もこの点に最も力を注いで改革への努力を傾注されたのですが、私共としても、この改革を一層推し進めなければならないと考えております。理事会の構成は、学会会員の構成をできるだけ反映する形で、世代間・地域間・専門分野間のバランスやジェンダーバランスに配慮したものにしなければならないと思いますし、その選考過程もできるだけ透明かつ合理的なものにする必要があります。
 前回の理事選任(2003年)は、「理事及び監事選出に関する申し合わせ」(2002年10月27日)に従って、全会員による直接投票を組み込む形で行われました。これはあくまでも「試行的に」ということで実施されたものです。確かに会員による「直接選挙方式」は最も民主的な手続ですが、反面、その実施には手間とコストがかかるだけでなく、投票率も低くなりがちで、必ずしも適切な選出結果とならないことも多いという批判もあったようです。しかしともかく一度やってみようということで実施されました。私共としては、こうした前執行部・理事会の勇断を、大変高く評価するものです。
 その後、この選挙に関する「総括」はとくになされませんでしたので、私共としては、結果からそれを憶測するほかありません。選挙結果については守秘義務に関わる問題もありますので、公開できる部分だけを前提に考えれば、以上のことが言えるように思われます。
 まず、投票率は485名の有権者に対して107名、22%でした。この数字を如何に評価するかは人によって異なると思いますが、会員全体の意思が十分に示されたとは言えないように思われます。また、本学会は、専門分野を異にする会員が寄り集まっている多様で多元的な学会であるため、個々の会員が他分野の専門家の論文を読んでその業績を評価するということは稀であり、全体選挙といっても実際には分野別選挙の様相を呈することになりがちであろうと推測され、他分野については、比較的名前を知られた年長者である現理事が、そのまま多数票を獲得する傾向になったように思われます。
 もっとも、前回の選挙で、現理事ではない比較的若い世代にも一定の票が集まり、理事の世代交代を進めたことは大きな一歩であり評価さるべき側面だと思います。
 2006年の理事会・総会時には、役員の任期が切れますので、それに向けて、この段階で前回と同じ方法で理事の選出を行うか、それとも新しい選任方法で行うかを決めなければなりません。私共は上記前回選挙の結果を踏まえ、かつ他の色々な学会の理事選出規則なども比較しながら検討を重ねました。
 日本国際経済法学会の将来の方向に関する基本的な考え方として、学会をより活性化させるためには、若い世代の意見を含む会員の意思を体現する学会運営を実現するとともに、研究分野については、WTO法、経済法の国際的な側面等の公法系とともに、国際取引法・国際私法等の私法系の分野や、さらに、知的財産権法、国際ビジネスに関する様々な法分野をより一層バランスよくカバーする必要があると考えられます。そうした認識に立ち、私共は、それを実現するため、2006年秋の理事の選任方法については、以下のような方式で試行的に実施することとの原案を、役員会にお諮りしてご承認をいただいたほか、翌日の総会でもご了承を得ました。
 その骨子は、(1)次回の理事選任においては、直接選挙は行わない。(2)その代わり、間接選挙制を部分的に導入する形で、下記のような理事の選出手続の変更と候補者名簿を作成する「理事候補者推薦委員会」(以下、推薦委員会)による選考を中心に行う、というものです。(2005年10月29日「役員選出方法に関する申し合わせ」参照)。
(1) 理事候補者推薦委員会(9名)の構成
       40歳未満   3名前後
       40歳代   3名前後
       50−60歳代 3名前後
     (役員会・総会で承認された当委員会のメンバーについては「2005年度総会・役員会報告」をご覧下さい。)
(2) 理事候補推薦委員会の役割
 推薦委員会は、専門分野、ジェンダー、地域などを考慮して、推薦委員会委員以外の会員から20名の候補者を決定し、2006年前半に理事長に報告して頂きます。その際、各世代別の人数は概ね次の通りとします。この報告内容について、推薦委員会委員は守秘義務を負って頂くものとします。
        40歳未満:  5名前後
        40歳代:   5名前後
        50−60歳代: 10名前後
 理事の総数は40名ですので、残りの20名の候補者については、常務理事会は、専門分野、ジェンダー、地域などを考慮し、かつその他の諸般の事情を考慮して、候補の選任を行います。その候補者20名の中には、職務上の関連から理事就任をお願いしている外務省・経済産業省の局長ないし部長の2名と、原則として推薦委員会メンバー9名を含むものとします。
 常務理事会から理事会には新理事の候補者案40名を一括して提出し、そのうちの何れの20名が推薦委員会による推薦であるかは、常務理事会メンバー以外には判別できないこととします。
 因みに、この新制度の下でのスケジュールとしては、2006年前半までに常務理事会は推薦委員会からの候補者推薦を受け、常務理事会独自の推薦と合わせて2006年10月28日(土)開催予定の現理事会に40名全員の候補者リストを提案して承認を受け、さらに翌日(日)の総会で承認されたならば、総会後直ちに新理事会を開催し、そこで新理事長を互選して頂くということになります。
 なお、監事の選出方法は従来と変わりありません。

本学会の将来像
 私共の執行部では発足以来、本学会の将来の方向について議論を重ねてきましたが、その結果、私共は次のような方向に進むことが適当であるとの結論に至りました。
 まず、日本国際経済法学会の将来の方向に関する基本的な考え方として、学会をより活性化させるためには、若い世代の意見を含む会員の意見を体現する学会運営を実現するとともに、研究分野については、WTO法、経済法の国際的な側面等の公法系とともに、国際取引法・国際私法等の私法系の分野や、さらに、知的財産権法、国際ビジネスに関する様々な法分野をバランスよくカバーする必要があると思われます。このことは、司法試験の選択科目として、「国際関係法(公法系)」に「国際経済法」が入り、また、「国際関係法(私法系)」に「国際取引法」が入ったことから、これまで以上に、これらの研究の充実が社会的に必要となっており、その研究の場を整備する必要があるとの認識に裏付けられています。
 そもそも15年前に本学会が創設されたときの基本理念は公法系と私法系の融合という点にあり、発起人にも私法の学者・専門家の方々が多く名を連ねておられました。しかし、その後、本学会では必ずしも私法関係の研究活動について充分な努力を行ってきたとは言えません。そればかりか、司法試験で「国際経済法」が「公法系」科目と位置づけられたことから、社会的には否応なく「国際経済法は公法」であると受け止められることになりました。本学会がこれまでの名称に固執するということは、私共の意図に反して、国際私法・国際取引法など私法分野を排除するものと捉えられる危険性をもつことになります。
 こうした状況を踏まえて、私共は、次のような方向に進むことが適当であると判断し、これを役員会に提案した次第です。2005年10月29日の役員会では、この方向性を基本的にご承認頂き、翌日の総会でもご了承を頂きました。すなわち:
(1)日本国際経済法学会の従来のあり方を見直し、その中に、比較的独立性をもった研究単位として、公法系、私法系、その他を配置し、必要に応じて、学会全体による統合的な研究と分科会による個別的な研究を行っていく。なお、公法系、私法系以外にいかなる研究単位を置くかは、研究分野としての確立度合い、研究者人数等を勘案して適宜決定・修正していくべきである。
 (2) 上記(1)の趣旨を踏まえて、2006年度の総会に対し、役員会の議を経て、規約1条を次の通り改正するとともに、それに合わせて他の関連条項[1]についても所要の改正を行うよう提案する。

現行規約第1条(名称):「本会は、日本国際経済法学会(The Japan Association of International Economic Law)と称する。」

改正提案に係る第1条(名称):「本会は、国際経済取引法学会[2](Japan Association of International Economic and Business Law)と称する。」

そして、(1)を有意義な形で実現するためには、とくに、私法系その他の研究単位の充実が必要であり、その分野の研究者に積極的に入会を働きかけることが必要です。その前提としては、私共の学会が、国際取引法を国際経済法と並ぶ車の両輪として改めて位置づけ、その研究をより一層重視していく所存であること、かつ、上記のような名称変更も念頭に置いているとの方針をご確認頂く必要があったのです。
 幸い、役員会・総会では、こうした基本方針をご了承頂きましたので、執行部としては今後、個々の国際取引法研究者に対してそのことを積極的にアピールし、本学会が国際取引法についてもより一層充実した研究の場となるよう必要な方策をとっていく所存であります。
 2005年度の研究大会では、「『国際経済法』『国際取引法』のあり方を問い直す」というテーマの下に、真剣で熱気に溢れる議論が交わされました。国際取引法が単なる「教育の体系」にとどまらず、相対的に独立した「学問分野」であるためには、それなりに固有の「対象」と「方法」が画定され、それに立脚した「体系」を備えることが不可欠でしょう。本学会が、国際取引法について学問的な議論の場となり、新しい研究者が育っていくことになることを強く期待しています。
 2006年度に上記のような規約改正を行う場合には、その前提としては、それに見合う多数の国際取引法専門家が入会して下さるという実態がなければなりません。最終的には2006年の役員会・総会で、そうした実態を踏まえた上で、ご審議・ご決定を頂きたいと考えております。会員各位におかれましては、本学会の将来に関わるこの重大問題に、ご理解とご支援賜りますよう切にお願い申し上げます。
   2005年11月3日
                  日本国際経済法学会理事長 村瀬 信也


[1] 第3条「本会は、日本における国際経済法の研究の促進と・・・」を「国際経済法および国際取引法」に改正する。第5条、第9条も同様な改正が必要となる。

[2] 名称については、「国際経済法・取引法学会」などのように「ナカグロ」を入れるか、頭に「日本」をつけるかなど、なお考慮の余地がある。
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